もしかして甲状腺?

甲状腺機能亢進症を診断した猫

 猫で甲状腺の病気というと、甲状腺機能亢進症がほとんどです。猫の甲状腺機能亢進症は、過食、興奮、多飲多尿、急な体重減少が主な症状ですが、それらすべてが必ず発現するわけではないのが、甲状腺機能亢進症の診断を難しくしている原因だと思います。

 写真の黒ネコちゃんは、当院で最初に甲状腺機能亢進症を診断した猫でした。元は多飲多尿と体重減少で来院されたのですが、とてもおとなしい子で、お家でも興奮しているような兆候は見られないとのことでした。一般的な血液検査でははっきりしませんでしたが、甲状腺ホルモンの測定を検査機関に委託すると、甲状腺ホルモンが多いことが判明、甲状腺機能亢進症と診断されました。

 他の症例では、過食と気付かれずに、食べすぎによる嘔吐や便秘を主な症状として来院されたり、難治性の下痢で来院されたこともありました。

 このように、明らかな症状が発現していないことも多い甲状腺機能亢進症ですが、不確定な状況で、甲状腺ホルモンの検査を検査機関に依頼できるかどうかが、診断の分かれ道となっていました。しかしこの度、院内で甲状腺ホルモンを測定できるようになりました。これにより、甲状腺機能亢進症の再検査による投薬の調整や、疑わしい症例へ積極的に検査をすることが可能となりました。

 10歳以上の猫で、最近、気が荒い、活発になった、よく食べてるのに痩せてきた、排尿回数が増えた、夜泣きする、食べ過ぎて嘔吐する、などの症状が疑われるようなら、是非一度、甲状腺ホルモンの測定を受けてみてください。